●麻酔のABCDEFGHチェック 症例を通じて学んだこと①

麻酔の導入後(挿管、Aline挿入など一通り準備が終わり手術開始前の状態)、手術中に確認する項目として「ABCDEFGHチェック」があります。名称や内容に関しては所属する病院や大学医局によって異なるかもしれません。この内容が参考になれば幸いです。

「ABCDEFGHチェック」とは

私の麻酔科医局の大先輩が考案された確認項目です。

ABCDEFGHチェックリスト

・「A」:Airway 挿管チューブがずれていないか、挿管チューブのカフ圧は最適か、挿管チューブから麻酔器まで接続はしっかりされているか

・「B」:Breathing 1回換気量・SpO2濃度・Co2(呼気濃度)は最適か

・「C」:Circulation 心拍・血圧は最適か

・「D」:Drug 必要な薬剤(鎮静・鎮痛・筋弛緩、手術開始前の抗生剤)は投与されているか、必要な薬剤は投与しやすいように手元にあるか

・「E」:Emvironment 患者さんの体位は最適か(無理な体位ではないか、体に直接当たっている器具はないか)、患者さんの体温は最適か

・「F」:Fiber 薬剤は投与しやすいか(ルートが短く三方活栓が遠く投与しづらい)、ルート類が絡まらず整理されているか

・「G」:gas 動脈血ガス。Aline(観血的動脈圧測定ライン)が挿入されている場合。手術開始前の患者さんの状態を把握し、手術中の変化(出血など)と比較する。

・「H」:このチェックリストを考案された先生のイニシャル。最後にこの先生を忘れずに!笑

実際に経験したこと

私は普段、上記の内容を麻酔の導入後と手術中に確認してます。今回はこれにさらに追加すべき要素があったのでまとめます。(チェックリストに不備があったのではなく、私が網羅していなかった要素があったため、追記します)

症例は、全身麻酔 挿管 A1 V2で管理し、トレンデレンブルグ体位(仰向け、骨盤高位)で行う手術でした。

挿管直後の仰向けの体勢ではルートの滴下は良好でした。しかしトレンデレンブルグ体位になった後、おそらくルートが潰れて滴下不良となりました。手術開始前に気付き新しくルートをとりなおし、トレンデレンブルグ体位でも滴下良好なことを確認し、手術を開始し無事に手術を終えました。

今回は大事には至りませんでしたが、最悪患者さんが中途覚醒しトラウマとなり手術後もPTSDで苦しむ恐れもありました。

体位の変更後もルートの滴下が良好か、しっかり確認する必要があると学びました。

他の症例ではありますが、①オイフが患者さんの顔に当たりそうな場合は目の保護をする(眼パッチシールを貼る)、②体温を温める機械は均等に保温できるか(保温シートが曲がって敷かれていないか)も大事な要素です。

まとめ

以上を「ABCDEFGHチェックリスト」に追加すると、

ABCDEFGHチェックリスト(追記)

・「A」:Airway 挿管チューブがずれていないか、挿管チューブのカフ圧は最適か、挿管チューブから麻酔器まで接続はしっかりされているか

・「B」:Breathing 1回換気量・SpO2濃度・Co2(呼気濃度)は最適か

・「C」:Circulation 心拍・血圧は最適か

・「D」:Drug 必要な薬剤(鎮静・鎮痛・筋弛緩、手術開始前の抗生剤)は投与されているか、必要な薬剤は投与しやすいように手元にあるか

・「E」:Emvironment 患者さんの体位は最適か(無理な体位ではないか、体に直接当たっている器具はないか)、患者さんの体温は最適か(保温シートは曲がっていないか)、眼の保護は行っているか

・「F」:Fiber 薬剤は投与しやすいか(ルートが短く三方活栓が遠く投与しづらい)、ルート類が絡まらず整理されているか、体位変換後もルートの滴下は良好か

・「G」:gas 動脈血ガス。Aline(観血的動脈圧測定ライン)が挿入されている場合。手術開始前の患者さんの状態を把握し、手術中の変化(出血など)と比較する。

・「H」:このチェックリストを考案された先生のイニシャル。

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